"プロボノ"の実践
今どきの社会貢献の手法として、"プロボノ"が注目されています。"プロボノ"とは、ラテン語でPro Bono Publico(公共善のために)を略した言葉で、欧米のホワイトカラーにとってはごく一般的に使われている言葉です。
先日NHKの「クローズアップ現代」でも取り上げられていましたが、それぞれ専門的なスキルを持った社会人が、いまの会社に所属し業務をしながら、自分の時間の一部(オフタイム)を使いそれぞれのスキルを活かして社会貢献に役立てるというものです。
では、何故そういった行動に向かわせるのでしょうか。
欧米と日本とはプロボノに対する考え方が違うようで、欧米では「私たち一人一人が、この社会の一員であり、我々一人一人が社会を築くのだ」という意識が基本にあるのに対し、日本では、「日々の仕事に"生きがい"を感じられない。私の仕事は、この社会や国に何か意義があるのか」といった疑問、究極的には"鬱"が根底にあるようです。前述の「クローズアップ現代」でも、ネット関係の専門スキルを持ったサラリーマンがプロボノとして選んだのが、あるNPO法人のホームページの制作に関わるというもので、複数のプロボノに参加した人たちと議論をし、そのNPOにとって如何に魅力のあるホームページを作るかというものでした。最後に関係者へのプレゼンが終了し、皆がその出来栄えに満足すると、そのサラリーマンは何とも言えない充実した表情を浮かべていたのが印象的でした。
ここ20年ぐらいであまり耳にしなくなった言葉として、"働きがい"とか"働く喜び"があります。最近ではそれに代わって、"生き残り"や"勝ち残り"や"サバイバル"などといった殺伐とした言葉がよく使われています。会社で「ありがとう」という言葉を聞いたことがない、という若者が氾濫しています。そういう若者達が、その反動として"プロボノ"という自分の価値を見つけるための行動を起こすのでしょう。
それでは、私たち医療関係者はどうでしょう。患者様に良質の医療サービスを提供し、それに対して患者さんから感謝の言葉をいただく。病院においてはごく自然でよくある風景です。阪本病院においても今さまざまな試みがなされており、看護を始めとする様々な研究や病院の環境改善に取り組む園芸クラブや動物クラブの活動などすべては患者様からの「ありがとう」という言葉をいただくための私たち個人個人の"生きがい"づくりの活動といってもいいのではないでしょうか。私たちが働くこの阪本病院で"プロボノ"を実践できればこんな幸せなことはないと思います。
法人本部長 西本 稔

